Guillaume Blanchard著「Observer avec une lunette et un tÉlescope
(屈折と反射望遠鏡での観測)」の紹介
2014年4月30日 舟越 和己
この本はフランスで出版された12.5cmX19cmというポケットサイズのイラスト中心の、初心者向け
の本のシリーズ(注)ですが、著者の一人は光学技術者で、光学系のテスト手法、RMS波面収差
やスターテストの説明などレベルの高い内容まで書かれていています。下記の波面やRMS説明
の頁のようにイラスト的にも洗練されていて文章は読まなくてもイラストを見るだけでも面白い内容
だと思います。
http://astrophotography.fr/olt/p2b.jpg
(注)Les petits guides d'astronomie(天文の小ガイド)というシリーズの一つです。
目次と項目の紹介;
1.Qu'est ce qu'un instrument astronomique(天体望遠鏡とは何か)
→ここは初心者向けに下記の項目について書かれています;
・屈折と反射望遠鏡について(天体望遠鏡を構成する機器の名称等)
・双眼鏡について
・天体観測の始まり(望遠鏡の歴史と最近のVLTまで)
2.Un peu d'optique(光学を少々)
・良い像を形成するための要素(光学系、環境、架台などの機構、・・・)がツリー状に表されている。
・焦点比、極限等級、分解能、望遠鏡の視野の話
・望遠鏡の光学品質の評価(回折リング、エアリーディスクの話)
・人間の眼の構造
・写真フィルムとCCD
3.DÉtecter et comprendre les dÉfaults optiques(光学系の欠陥の検出と理解)
・基本的な収差の話(球面収差、コマ、非点収差、色収差、歪曲など)
4.Les traitements optiques des surfaces(光学表面の処理)
・ミラーのアルミナイズの話
・レンズのコーティングの話
・経緯台と赤道儀の話
5.Les prÉcisions mÉcaniques(機械の精度)
・赤道儀の追尾機構の話(ペリオディックモーションなど)
・各望遠鏡の構造
6.Les instruments solaires(太陽望遠鏡)
7.Les accessoires d'un instrument d'astronomie(天文機器のアクセサリー)
・アイピース、バーローレンズ、コマコレクター、フィルター
・望遠鏡の調整法(シミュカセ、ニュートン)
・焦点内外像による症状と対処法
8.Choisir l'instrument de ses rÊves(理想の望遠鏡の選択)
・観測目的別にどんな望遠鏡が適しているかを説明
9.Comprendre un bulletin de contrÔle optique(光学検査証明書を理解すること)
・PTVとRMS波面収差の説明
・受け入れ可能な光学品質のクライテリオン(ストレールレシオなどかなり詳しく書かれている)
・品質検査表の読み方
→フーコーテスト結果、インターフェロメータ結果、ロンキーテスト結果の見方が事例と共に
説明されている。
10.Tester son instrument(望遠鏡のテスター)
・ハートマンテスト、焦点内外像など
・様々なケースの欠陥について、焦点内外像、波面収差、二重星の分離がどのようになるかが
一覧図として纏められています。
11.Entretenir son instrument(望遠鏡の確認)
・ミラーやレンズの清掃の話など
12.Choisir son lieu d'observation(観測場所の選択)
・大気の揺らぎの影響の話
最後の頁の参考書籍欄には、H.R. SuiterのStar Testing Astoronamical Telescopes、Texereauの
La construction du telescope amateur、などポケットサイズの本とは思えないようなハイアマチュア向け
の本が載っています。